すれ違い
「ごめんごめん!お待たせ〜、なんか擦れ違いしてたっぽいんだよね〜」
「スレ違い?別に掲示板にはいなかったけど...まあいいや、とにかく今日は何する?もう昼だけど」
「ひとまず親父がいる所に車で行こうと思っててさ」
「お前の親父さんがいる所?」
「ほら、あそこだよ!行くのに勇気がいるからさ(墓参りのこと言ってるんだけど、分かるかな)」
「ああ、あそこね(確か前お化け屋敷でバイトしてるって言ってたけど、それかな?)」
「やっぱ一人で行くのは怖くってさ、でもしばらく行ってなかったから、一緒に来てくれない?」
「まあいいけど」
「良かった、じゃあ早速お酒買ってくるね」
「ちょいちょい!何で車で行くのにお酒買うんだよ」
「いやいや、まずお供えがなかったらどうにもならないでしょ」
「お前そんなことしたら捕まるぞ。お供え?(入場料か?)金でいいだろ」
「お金もらっても嬉しくないでしょ」
「いやむしろ金じゃないとダメだろ」
「そんなことないよ。あと一応、お守りとかも付けとかなきゃな」
「大袈裟だな!別にそこまで危険じゃないだろ」
「いやもし幽霊に襲われたりでもしたらどうしようもないじゃん。念には念をだよ」
「別に本当には襲わないだろ...」
「あと折角行くんだし、ちゃんと撮る準備もしておかなきゃ」
「捕る?何を」
「そんなもん、幽霊に決まってるだろ」
「お前なあ、あんなん偽物に決まってるだろうが、そんなの信じてるのか?」
「いやいや!幽霊っているから!だからこれから一緒に行くんだろ?どうせならお前も一緒に撮ってやるよ」
「嫌だわ。ていうか、何使って捕るんだよ」
「うーん、今日は撮る物持ってき忘れちゃったからなぁ、スマホでいっか」
「いやスマホとかポケモンGOみたいなノリだな、そんなんで行けるのか」
「大丈夫大丈夫、なんとかなるって。じゃあしばらく寝るか」
「え?そんなことしたら(お化け屋敷)閉まっちゃうんじゃない?」
「別に(墓地くらい)閉まってても入れるでしょ。それくらい余裕だって」
「閉まった後だったら誰もいないだろ」
「だからこそ幽霊が出るんだろ?昼間はそんなの居ないさ。それも兼ねて夜行くんだよ」
「むしろ昼に居なきゃおかしいけどな。そういや、お前の親父さんって今何してんだ?」
「うーん...幸せそうに眠ってるんじゃないかな」
「てことは、そこに住んでるのか?なら親父さんもいるかもな」
「まあ確かに棲んでるかもしれないね。お酒、喜んでくれるかな」
「うん?お酒って親父さんにあげるのか?」
「当たり前だろ。さっきお前飲酒運転みたいな言い方したけど、俺は飲まないから。ってか、そんなことしたらバチ当たりそうじゃん?」
「バチって、警察のことか?まあ飲酒運転したらそうなるわなw」
「違う違う!親父からのバチに決まってるだろ!」
「そうか、お前の親父さん酒好きだもんな」
「そうそう、だから天国でこのお酒飲んでほしいな」
「ん?天国って?」
「あれ?俺なんかおかしいこと言った?」
「いやだから...お化け屋敷で住み込みで働いてる親父さんの所に行くって話じゃ...」
「えっ、俺はずっと墓参りの話してたんだけど...」
「「あ」」