涼宮ハルヒの憂鬱 (2)
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この項目では、(1)の続きについて説明しています。その他の涼宮ハルヒの憂鬱については「涼宮ハルヒの憂鬱 (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
涼宮ハルヒの憂鬱 (2)(すずみやはるひのゆううつ (2)、英:The Melancholy of Haruhi Suzumiya 2)とは、諸事情あって涼宮ハルヒの憂鬱からフォークされちゃった記事である。
7[編集 | hide]
さて、ハルヒが彼らを集めたのは意識せざる偶然であると同時に、どうも無意識的には必然らしいのだが、彼らの側からするとハルヒに対して興味があるのだという。
「スクリーニング」により予めいつ・どこにいればその話を聞けるかを知っている私は、ある時は公園で鼻の下を伸ばすキョンの間の抜けた表情を眺めながら、別の時は、延々とお茶を飲ませ続ける長門に腹いっぱいになったキョンの苦しげな様子まで感じつつ708号室の扉に耳をそばだてて、はたまた別の時は校内の中庭で、三者三様の話を聞いてみた。
どうみてもSOS団に付きまとう不審者だが、いざとなれば(多分)元いた世界に逃げられるので問題はない。
あなたは、そこまでするならSOS団の6人目として直接参加すればいいではないか、と考えるかもしれない。だが、どういう理由だか知らないが、具体的な物理的距離はまちまちであるものの、どんな局面でもある距離以上の接近を試みると、頭に鈍痛を覚えて意識が飛びそうになり、それ以上の接近は困難になることにこの頃気付いたのだから、仕方がない。
総合すると、ハルヒは今から三年前に、情報爆発と呼ばれる現象を引き起こし、世界の時間を引き裂き、超能力者たちに能力を付加させ、「機関」からすると世界五分前仮説ならぬ世界三年前仮説と、ハルヒを創造神ではないか、と思わせるほどの異常現象を引き起こしたらしい。
未来人はそれ以前にさかのぼることはできず、「スクリーニング」でも、辛うじて部分的にハルヒのそれ以前の記憶に部分的にアクセスできるだけなので、確かに三年前に何らかの異常現象があったこと、そしてハルヒがその中心であるらしいことに異論はない。
情報統合思念体は時空を超越しているので、あるいはそれ以前の時間の情報にもフルアクセスできるのかもしれないが、彼らとて、アクセスできた情報が本当にそれ以前から存在していたかは検証のしようがないであろう。
喩えるなら簡単な話で、デジタルファイルの作成日時などは、後からいくらでも書き換えられる。情報一般も同じで、大規模な改変がオンファロスばりに無矛盾性を維持して行われた場合、後からアクセスした側にとっては、その情報が「筋が通っている」ことは理解できても、「真実であること」の確証は持てない。
この現象とハルヒの能力に関する見解も三者三様で、情報統合思念体は、「無から情報を生み出し、自らに都合よいように変化させるために情報操作を行う能力」だと認識しており、「機関」もそれと遠くない一種の創造能力を想定しているが、未来人からすると、既にある世界の可能性を引き出しているだけに過ぎないらしい。
未来人の考え方だと、世界は元々宇宙人や超能力者などの不思議な現象を引き起こすことができるが、ハルヒはそれを発見させやすくするだけらしい。
古泉の話だとこの他様々な勢力が様々な見解を持っているというが、私としては、この世界で最高クラスの知性を持つであろう情報統合思念体の説に近い考えを持っている。
ハルヒは、無から情報を生み出す能力を持っていて、それを自身に有利な、あるいは面白いように改変するために、自覚なく使うことができる。
だが、そこから先で、私は一歩踏み込んだ意見を持っている。
ハルヒにそれが可能なのは、ハルヒ世界自体が、作者・谷川流の産み出した仮想世界であり、情報によって構成されている「ミームワールド」だからだと考えている。いわば、映画マトリックスの電脳空間のようなもので、素粒子ではなく情報でできているがゆえに、書き換え可能なのである。
本来この世界の最高の絶対権力者は作者である。しかし、ハルヒは、歴史上の名作にありがちなように、その人物的魅力故に、作者の意図に縛られずに独り歩きするだけの力を持った。その結果、ハルヒ世界における作者の代行者として、範囲は作者の作者の裁量で決められる、部分的なハルヒ世界内部の再構成能力を手にしたのだと思われる。
もちろん、基本的設定レベルで、自覚なく一定の創造能力を有すること自体は組み込まれてはいたのだろうが、その具体的な発現については、作者がそれぞれの状況で一定の介入を行った上で起こっていることであり、ハルヒの力であると同時に、ハルヒの力ではない。
ハルヒが決して自らの能力を自覚しないのは、少なくとも部分的にはそこに原因があるのだろうと考えている。
そして、本来、ハルヒの能力はハルヒ世界の「外部」には及ばない[1]。私が自ら潜り込むまで、この世界に異世界人が現れなかったのは、外部世界から人を引っ張る力はなかったからだと推察される。
8[編集 | hide]
ここまで考察を続けて、私がハルヒとSOS団に一定距離以上近づけない理由が分かった。
全てを「スクリーニング」により見通せる存在であり、本来のハルヒの能力では呼び寄せられない異分子である異世界人でもある私は、既に作者・ハルヒが、彼女にとって最適化された世界において、大筋では影響を与えることはできないのだ。いや、強引に設定を無視して二次創作してしまえば近付いたことにはできるかもしれないが、少なくともここはそういう場ではなく、ウソを混ぜつつも、ユーモラスにハルヒのことを解説する場だから、それもままならない。
私の世界だったら、私がいるだけでバカにならないバタフライ効果が発生した可能性もあるが、その程度で済むならハルヒは何とかしてしまえるのだろう。そして、「何とかできる」レベルまでしか私は入り込めない。
それこそが、古泉曰く「諸勢力が均衡し、結果として飽和安定状態にある」というSOS団空間から私が締め出される理由なのだ。
…キョンよ、お前がつくづく羨ましいぜ。あんなに面白そうな子の近くに抵抗なく入れたんだからな。
9[編集 | hide]
そう、そのキョンのこと、ハルヒは多分好きだったんじゃないかな。
地球上での自分のちっぽけさに気付き、無力感と寂しさから抜け出そうとして面白いことを求め続けた少女にとって、曲がりなりにも人生で初めての理解者に映った存在は、特別に見えるのも自然なことだろう。
だが恋愛を「一時の気の迷い」、「精神病の一種」と思っている彼女は、せいぜいいたずらっ子が片想いの子に悪さをするような振舞いしかできなかった。
そのことと、キョン的にはより魅力的に見えたのであろう朝比奈みくるが、彼と仲良くなっていったことが、恐らくはあれが起こった大きな要因になっている。
要するに、彼女はキョンと仲が良くて、自分よりも胸にも恵まれている朝比奈みくるに嫉妬したのであろう。そんなところも、何とも可愛らしいではないか。
10[編集 | hide]
SOS団を作ったものの思う成果を出せず、ハルヒ本人は決して認めないだろうが、彼女が好意を抱いているキョンは朝比奈みくると仲良くしてしまう。カナダに急に転校したという朝倉涼子の謎も、調べると謎は深まっているが、うまく解けない。
ハルヒにはイライラがたまっていたのだろう。そして、…私の「スクリーニング」でもわずかに中身を捉えられた程度の、あの新世界創造が発生したのだ。
彼女は、嫉妬を抱いていた朝比奈みくるを含むSOS団員をも消し去り、キョンと二人だけで、ハルヒ世界内部で新世界を作ることに着手した[2]。
その出発点は、夜の学校だった。
眠りから覚め、気付くと夜の学校にいたハルヒとキョン。ハルヒは最初は不安げだったが、やがて持ち前の好奇心を発揮して、その世界の探検に乗り出していった。
本人には、この新世界を創造している自覚はなくとも、その世界が自分に好ましい世界になることだけは予感していたようだ。
画面にわずかな間だけ映った、神人を見たときの喜びに満ちた彼女の顔は、本物の笑顔だった。
11[編集 | hide]
だが、キョンは、事ここに至って、元の世界にも、ハルヒが望むような、そして自身も意識せずに望んでいたような面白みがあることに気付き、ハルヒにもそれを教えてやることで彼女と共に帰還する道を選んだ。
真相は…私は知っているが、ここでは書かないでおく。ただ、いくつかキーワードを残しておく。
- 「白雪姫」
- 「Sleeping beauty」
- 「リア充爆発しろ」
そういうことだ。
12[編集 | hide]
そんなことがあった(ことになっている)翌朝、ナマで見たハルヒは、キョンの指摘以後固定していた髪型を久々に変えて、ポニーテールにしていた。何が起きたか、画面越しに知っている私からすれば、やっぱりそういうことだったんだな、と思う。
そう言えば後に、キョンとけんかした時にも、彼女は部室でポニーテールにまとめかけていたな…、というのはまた先の話だった。
今はこれでおしまい。
このサイト的には非定型以外の何物でもない試みが次以降も続いたら、また会うことになるかもね。
関連項目[編集 | hide]
- 涼宮ハルヒの憂鬱 (1) - 改めて最初から読みたい方向け。
- 涼宮ハルヒの憂鬱 - その他の憂鬱はこちらから。
- SOS団
- 涼宮ハルヒ
- キョン
小説版 | 憂鬱 (1) - (2) - 溜息 - 退屈 - 消失 - 暴走 - 動揺 - 陰謀 - 憤慨 - 分裂 - 驚愕 | |
アニメ版他 | 涼宮ハルヒの憂鬱 (曖昧さ回避) - 時間平面理論入門 | 第一期 - 第二期 - 登場人物 - ハヒル - 消失 - ハルヒちゃん - 長門有希ちゃんの消失 - ちゅるやさん - 約束 - 戸惑 - 並列 - 直列 - 追想 - サウンドアラウンド |
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