盟神探湯
盟神探湯(くかたち)とは、足のみを浴する足湯に対して生まれた、手を浴する手湯のこと。
起源[編集 | hide | hide all]
元より温泉の多い日本では、古代から温浴は日常的に行われてきた。しかしながら温浴にはさまざまな弊害をもたらした。衣服を脱がなければならず、野生動物に襲われる可能性もあり、裸体を目的とした人間の混在を招くことになり、より簡便な温浴方法が模索されてきた。そのうち誕生したのは足をつけて温まる足湯であったが、これに対しさらに簡易な方法、手のみをつけることによって暖を取る手法が編み出された。
盟神探湯の成立は日本書紀や古事記に登場するほど古いものである。日本人は何事にもつけて神の存在を作りたがるので、当然盟神探湯の成立にも神が介在している。というのも手を湯に浴することにより、神は手をつけた者に恩恵を与えると定めたのである。実際に与えられるのは湯からの熱であるが、この風説を間に受けた古代日本人はこぞって湯に手をつけて、宗教熱を出したと伝わっている。盟神探湯の名前は恩恵(盟)の神を湯に探すという文を組み立てたもので、いつしか神聖な行事という側面も含有するようになっていった。
手法[編集 | hide]
一般的には湧き出た温泉を器に掬い、冷ますことなく手を浸けることが推奨される。一方で温泉に乏しい地域では一般の地下水、川の水に熱して湧かすことにより同様の効果を得ようとする方法も存在する。最近ではやかん、電気ケトルを利用した湯の生成も行われているが、後述の理由から一般的ではない。
危険性[編集 | hide]
源泉からそのまま湯を持ち込んだり、沸騰中の湯に対して盟神探湯を行うことは当然火傷のリスクを負う。現代と違い温度計もない古代では火傷を起こし怪我するケースや、最悪の場合死に至るケースもあるなど大いに危険な行事とされた。人は危険な行動にこそ神を信じるため仕方ないとする見方もある一方で、火傷を負うことは「正直者ではない人間への神罰だ」とみる見方も存在した。
ただ、現代においてはそのような心配は無用である。火傷するような湯に手を突っ込むほうが悪いのだ。