雷撃機
雷撃機(らいげきき)とは、第一次世界大戦後から第二次世界大戦中にかけて使用された、主に艦船攻撃を目的とした軍用機。
攻撃方法[編集 | hide | hide all]
第二次世界大戦中の艦船は、電子装備により索敵や攻撃を行うのが必須となっていた。少なくとも日本以外では必須であった。
日本では熟練見張り員や熟練搭乗員などの人力と大和魂で戦争を続行したが、当然ながら、それは必須ではなく必衰であった。
日本以外の各国では、電子装備に損害を与えれば、艦は沈まずとも戦闘には使えず、退却を余儀なくされるようになった。電子装備を遠距離から破壊するために、大電流を敵艦に流す方法が考案され、実戦投入される。
雷撃機の初使用例としては、フェアリイ・ソードフィッシュに大型のテスラコイルを装備し、駆逐艦 電(いなずま)を航行不能にした1941年の例が挙げられる。当初は電気を通さない木造機が使用されたが、その後、機内に雷が漏れ出さないためには全金属製の機体の方がむしろよいことが判明し、専用の雷撃機が量産された。
雷撃機の発展[編集 | hide]
当時のパワーエレクトロニクスは未熟であり、長さ300mの雷を出すだけでも大型スクールバス1台分の設備を要した。ソードフィッシュは比較的翼面荷重が軽いため、敵艦に肉薄して雷撃を行うのに適していたが、小型すぎる機体のためエンジン出力不足に悩まされ、対空砲火による損害も多大であった。
このため雷撃機は大型化してゆき、アメリカの第二次世界大戦後期に使用された雷撃機 アヴェンジャーTBFでは、B-29戦略爆撃機並みの巨体となっていた。
雷撃機の大型化に伴い、雷撃の射程も向上し、10海里近い長さの雷が敵艦に落雷するようになる。
一方、日本軍は雷撃機を採用せず、人力で電子装備に攻撃を加える、攻撃機を多数投入した。
衰退[編集 | hide]
高高度での核兵器使用は、広範囲に雷撃と同様の効果をもたらすことが終戦直後の核実験で判明した。
また艦船の電子装備を完全に破壊せずとも、露出した部分を攻撃するのみでも電子装備を無力化することが可能であった。無人機の技術が向上し、通常の対艦ミサイルでも十分な攻撃力が得られる。このため、攻撃機による特攻攻撃の無人化が進んだ第二次大戦後は、ほぼ雷撃機という区分は消滅するに至っている。
復活[編集 | hide]
21世紀前半の先進国においては、プラズマ兵器やレーザー兵器などの形で、新たに雷撃機の開発が進んでいる。
2010年ごろの現状としては、ボーイング747サイズの機体にレーザー兵器を搭載して、ようやくミサイル迎撃などの用を為す性能が得られている。今後は、化学レーザーなど、1980年代のミサイル防衛構想や、戦時中の雷撃機でも用いられた技術も活用するとされる。
光速で届く兵装ゆえの、発見即破壊という即時性が重視され、今後は戦術戦闘機や車両にも応用が期待される。