涼宮ハルヒの憂鬱 (1)
この項目では、小説版について説明しています。その他の涼宮ハルヒの憂鬱については「涼宮ハルヒの憂鬱 (曖昧さ回避)」をご覧ください。 |
涼宮ハルヒの憂鬱(すずみやはるひのゆううつ、英:The Melancholy of Haruhi Suzumiya)とは、涼宮ハルヒシリーズの初作である。発表以来、涼宮ハルヒの住む世界ならず、こちらの世界でも多大な影響が観測されている。作者は谷川流。アニメ版では、原作の『憂鬱』以外のエピソードも取り込みつつも、タイトルとしては『憂鬱』を採用している。
ある異世界人の視点[編集 | hide | hide all]
1[編集 | hide]
東中出身、涼宮ハルヒ。ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、異世界人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上。
ある理由でこの世界の県立北高に入ることにした私は、ナマでこの自己紹介を聞いて、やはりこの子は面白い子に違いないと思った。
聡明さを感じさせる瞳を持った美少女、ハルヒ。恐らくはその聡明さゆえに、この現実世界の平凡さに飽きたのであろう。彼女は、何か非日常を望んでいるように見えた。私も退屈していたので、そして条件に該当するので、できればお近づきになりたいと思ったのだが、私と彼女の間に、先に入ってきた人物がいた。
キョン、と呼ばれる人物である。
本名は彼の自己紹介の時に聞いたはずなのだが、直後のハルヒの自己紹介のインパクトのせいで吹っ飛んでしまったからか、忘れてしまった。
たまたま座席がハルヒの前だった彼は、本人の自覚でも、様々な勢力の調査でも「ただの人間」なのだが、…ハルヒにとっては、ジョン・スミスに似ていたからだろうか、あるいは、髪型の変化が「宇宙人対策」だとキョンが見抜いたことで、彼が自らの理解者になってくれるかもしれないと思ったからか…っと、先走り過ぎたが、ともかく何か興味を持つ要素があったらしい。
キョンが話しかけて以降、ハルヒはぽつりぽつりと彼とは話すようになる。
2[編集 | hide]
殆どの部活に仮入部し、一通りは体験したというハルヒは、しかしそのいずれも気に入ることはなく、「ないなら凡人は諦めるしかない。それができない人物は発明をする」という趣旨のキョンの発言で閃いて、SOS団の設立を決定する。
まあ、そりゃあそうなるだろう。彼女はその持っている才能からして、ギフテッドの部類であり、その並外れた能力が「諦め」で自らを許すはずはないのは、殆ど火を見るよりも明らかなのだが…どうやら、キョンからすればその辺を読み違えていたらしい。
まあ、無理はない。キョンはハルヒが「変人なのに」頭がいい、と因果を逆転させた認識をしているからである。確か、三日で夏休みの宿題を終わらせたというハルヒの発言に、天のパラメーター配分が不公平だとかなんだとかぼやいてたっけ…、おっと、また先走ってしまった。
実際には話は簡単で、頭がいいから常人離れしていくのである。あなたは、開成や桜蔭の何シグマ区間分も平均から離れた変わり種を見たことがあるだろうか?
日常に退屈し、様々なアクションを起こす天才肌や、自分の興味を示す物事に熱中し、他の無関係な要素への興味は持たない研究マニアのごとき存在など、ゴロゴロいる。そのような世界を見たことあれば、ハルヒは常識からは離れているかもしれないが、そこまで変でもないことは分かるだろう。
ハルヒも彼らと同じで、聡明であるがゆえに、常識に囚われない可能性に興味を示すタイプなのだ。
ともかく、ハルヒは、SOS団の設立を決定し、廃部になったと思われていた文芸部室を占領、そこにいた長門有希をも部員認定してしまう。そして、翌日には朝比奈みくるを「萌え」あるいは「マスコット」枠として連行し、4名までは揃えるのだが、新しい部活の設立には5名必要なんだという。
それを知って、私は今度こそ彼女に接近するチャンスなのだと思ったが…またしても横槍が入ることとなる。
言い忘れていた。SOS団は略称で、正式名称は「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団」なのだという。やはりなんだか面白そうである。
実際、少なくとも私の元々いた世界は、経済効果も含め「大いに盛り上が」った。何せ、ハルヒは、スニーカー大賞、このライトノベルがすごい!作品部門受賞、シリーズ累計販売部数全世界合計2000万部以上、エトセトラ、エトセトラの華々しい成功を収めたからである。だが、私はその糞真面目な解説をしにここにいるのではない。詳しい記録の数々はウィキペディアでも見るとよいだろう。
3[編集 | hide]
さて、横槍…が入ったのだが、その前に、私自身の自己紹介に入りたい。
私はThe Pioneer、本名は別にあるが、ここでは仮にこう名乗ることとする。
ハルヒの世界からすると所謂「異世界」の出身で、「機関」その他の勢力には属さない、いわば旅人のような存在である。
異世界出身である関係上、実は特殊能力も持っている。「スクリーニング」と呼ばれる能力で、PCやタブレット…、っと、この世界、この時代ではまだタブレットはないのか、ともかく、何らかの電子画面があれば、元いた世界とほぼ同じ視点からハルヒ世界を眺めることができる、という能力である。
その能力故に、時に文字として、時に静止画として、そして別の時には動画として、ハルヒ世界を先読みし、今私がいるこの世界でこれから起こることを見抜けるのだが…。
恐らく、その能力には何らかの代償があるらしい。ハルヒに近付けないのにも、何らかの訳がありそうだ。
4[編集 | hide]
しかしその点の考察に入る前に、本筋に戻ろう。
ハルヒは、最後のメンバーは、入学したての微妙なタイミングで転校してくる「謎の転校生」がいいと思っていたらしい。そしてタイミングよく、そんな転校生、古泉一樹が、都合よく転校してきてしまった結果、私は結局SOS団に入るチャンスを逸してしまったのである。
少なくともその時の私はそう思っていた。
ともあれ、5人揃ったことでハルヒは正式に部活化することを決意する。その手続きはキョンが行い、書類申請上は何やら退屈で常識的な名前に変更してしまったのだが、個人的にはむしろそのままの名前で申請していた方が面白かっただろうし、ハルヒとしては不満だったのではないかと推察する。結局、未だに正式認可はされていないようだし。
しかし、「根底では常識も持ち合わせている」らしいハルヒだから、キョンの説得に何だかんだで納得はしたかもしれない。そこは、私はその場にはいなかったのでよく知らない。
「スクリーニング」で見えることも、ハルヒ世界の全部ではないから、見えない部分についてはやむを得ない。
5[編集 | hide]
さて、ハルヒ的には、「宇宙人や未来人や超能力者に会いたい」と思う一方で、「宇宙人も未来人も超能力者もそんなに簡単に集まって欲しくはない」とでも思っていたのだろう。少なくとも意識レベルでは、「簡単には会えないだろう」という常識的な判断ではなく、「簡単に会えたら、珍しい存在、異質な存在を求めていたのに、面白くない」とでも考えていたに違いない。
結論を言うと、彼女は、キョンを除くSOS団団員として、見事に宇宙人、未来人、超能力者をそろえたのだが、その自覚はなく、キョンからその話を吹き込まれても、今なお信じてはいない。ある時には適当に設定した結果正体通りのキャラで映画を作っちゃったり…っと、またまた先走り気味なのでやめておこう。
SOS団を結成し、やる気に満ちたハルヒはコンピューター研究部から(当時)最新鋭のパソコン[1]を強奪したり、朝比奈みくるとともにバニーガールに扮して校門前でビラ配りしたりなどして、入学当初に比べるとなんだか楽しげな様子になってきたが、どうもそれでも十分に気が晴れている訳ではなさそうだった。
6[編集 | hide]
キョンは、しかし、様々な形で他の団員の正体を明かされるとともに、証拠も見せられることとなる。
何も知らなければ訳の分からぬことを口走る電波系ヤンデレ少女にしか見えない何かに化けたクラス委員長、朝倉涼子に殺されかけたときに、キョンを助けた長門有希。
正体は情報統合思念体が作成した対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース、つまり正確には「宇宙人」ではなく、そのままでは人間と接触できない宇宙生命体が作った接触用の境界端末、宇宙ロボットのようなものであるが、キョンからは宇宙人とみなされている。赤点スレスレの単細胞にはその認識の方が分かりやすいからかもしれない。ただ、「ロボット」故か、長門有希の中では、時折生じる感情はエラーとして扱われており、それが蓄積すると…、っと、これまた先の話なので今はやめておこう。
何も知らなければ学校に侵入した怪しげなお姉さんにしか見えない大人姿で登場し、キョンに「星型のほくろ」のことを吹き込んだ朝比奈みくる。
正体は未来人で、自分たちの未来を守ることを目的としてハルヒと接触している模様だが、未来人も今一つ人選を選び間違えたのではなかろうか、と思うほどに頼りない。大人姿になると少しは改善されるが、それでもうっかり未来のことを過去のキョンに教えたりなど、時系列について混乱することも見られるので、やはりどこか心許ない。
但し、一説にはこれは対キョン用のハニートラップ作戦だという見方も存在する。
ところが、実際にキョンがハニトラにかかると…、っと、これももう少し先のことだ。だが、いずれにせよ、朝比奈みくるとしてはキョンにあまり仲良くしないで、という旨を伝えてはいる。
SOS団の団員としてハルヒが未来人と宇宙人を捕まえたことで、予定を前倒ししてハルヒと接触することにしたという古泉一樹。
彼は、キョンの目の前で閉鎖空間という灰色の空間で暴れる、もののけ姫かどこかのジブリ作品に出てきそうな神人なる存在を倒して見せ、自らがある特殊状況で「超能力」を有することを明らかにした。超能力者と言っても、ユリ・ゲラーのようなスプーンを曲げてドヤ顔する類の怪しげなものではなく、表の世界では普通なのだという。
直接的に体験していない私は、「スクリーニング」で得られた情報を元に再構成しているが、考えてみると、キョンは「ただの人間」にしてはズバ抜けて面白い現象に遭遇している。私としてはうらやましい限りである。
ハルヒも、話を知れば同じように思うであろう。…だが、恐らく彼女は未だに知らない。
脚注[編集 | hide]
関連項目[編集 | hide]
- 涼宮ハルヒの憂鬱 (2) - 「続き」のサインを見逃した方向け。
- 涼宮ハルヒの憂鬱 - その他の憂鬱はこちらから。
- SOS団
- 涼宮ハルヒ
- キョン
小説版 | 憂鬱 (1) - (2) - 溜息 - 退屈 - 消失 - 暴走 - 動揺 - 陰謀 - 憤慨 - 分裂 - 驚愕 | |
アニメ版他 | 涼宮ハルヒの憂鬱 (曖昧さ回避) - 時間平面理論入門 | 第一期 - 第二期 - 登場人物 - ハヒル - 消失 - ハルヒちゃん - 長門有希ちゃんの消失 - ちゅるやさん - 約束 - 戸惑 - 並列 - 直列 - 追想 - サウンドアラウンド |
人物他 | 谷川流 - いとうのいぢ - ツカノガク - みずのまこと - 涼宮ハルヒ - キョン - 長門有希 - 朝比奈みくる - 古泉一樹 - 渡橋泰水 - SOS団 - 鶴屋さん - ENOZ - 佐々木 - 橘京子 - 周防九曜 - 藤原 - WAWAWA |